映画「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ【起】
大伴恭一は、結婚した後もほかの女性との関係が断ち切れずにいた。
ある日、大学時代の後輩、今ヶ瀬が現れる。
今ヶ瀬は興信所勤務で、今、大伴の妻から不倫調査の依頼を受けているというのだ。
妻への口止め料として、今ヶ瀬は大伴の唇をねだる。
「大学時代から好きでした」との告白を添えて。
大伴はそれにしぶしぶ答え、妻に不倫はばれなかった。
しかし妻は、自分が不倫をしていたとカミングアウトし、大伴の元を離れていった。
大伴恭一は結婚してからも流されやすい性格は変わらない。「結婚していてもいい」と言われれば、女性と関係を持ってしまう。そんな大伴の前に、大学時代の後輩、今ヶ瀬渉が現れた。今、興信所に勤務する今ヶ瀬は大伴の妻から不倫調査を依頼されているというのだ。
「先輩のことが好きでした。ばらされたくなければキスさせて」と迫る今ヶ瀬に大伴は唇を許す。
そして、大伴は妻との関係をやり直そうと試みたものの、結局妻の方から別れを切り出されてしまった。
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ【承】
一人暮らしをはじめた大伴の家に、いつの間にか今ヶ瀬が転がり込む。
距離をとったり、縮めたりする二人。
大学時代の元カノとの再会もあったが、結局大伴は、流されるように今ヶ瀬と関係を持った。
独り暮らしをはじめた大伴の家に、今ヶ瀬が転がり込む。
大伴は、仕事でかつての不倫相手と久々に再開し関係を持つ。
今ヶ瀬は一度家から出ていくが、なぜか大伴の方から再び呼び出して二人はまた一緒に暮らすようになる。
ある日、大伴は大学時代の元彼女夏生とばったり出会う。
夏生は大学時代から、今ヶ瀬が大伴のことが好きなことには気が付いていた。
夏生と今ヶ瀬は、大伴にどちらを選ぶか迫る。
結局大伴は今ヶ瀬を選び、二人は体を重ねたのだった。
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ【転】
大伴は常務の愛人の子であるという、部下の岡村たまきと急接近する。
常務の急死をきっかけに、大伴は今ヶ瀬と別れ、たまきと付き合うようになる。
ある日、大伴は部下であり、少し気になっていた女性社員、岡村たまきが常務と一緒にいるところを見かけた。
大伴は二人の不倫をひそかに疑っていたが、常務から実はたまきは常務の隠し子であることを聞いた。
とはいえ、たまきはコネ入社ではなくしっかり自分の力で入社したともいう。
そして、最近は父親に会うたびに大伴の話をしているらしい。
今ヶ瀬は、出張前に大伴に向かって「たまには女と寝たいんじゃないですか?」と持ち掛ける。自分の世界に大伴を引きずり込んだ罪悪感から出た言葉なのかもしれない。
一方で、「大学のころあなたのたばこになりたいと思っていた。指先に挟まれているたばこが羨ましかった」などと気持ちを募らせる。
今ヶ瀬が仕事で留守にしているある日、常務が急に亡くなってしまう。
雨の葬儀、愛人の子であるたまきは常務の葬儀に顔を出すこともできない。
雨の中たたずんで号泣しているたまきを、大伴は思わず強く抱きしめた。
その喪服が、ファンデーションがついたままクリーニングに出されず放置されていることに、今ヶ瀬が気付く。
そして、腹をたてた今ヶ瀬に、大伴は「終わりにしよう」と言い、今ヶ瀬は家を出ていった。
二人はドライブする。
今ヶ瀬は「先輩みたいな人は煮込み料理を長く作る人が向いている」と大伴は「もっとお前を大事にして愛してくれるやつと付き合え」といった。
二人は、海を眺めて最後の時を過ごす。
大伴とたまきの距離は急速に近づき、二人は結婚を意識するようになる。
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」あらすじ【結】
たまきとの結婚を目前に、今ヶ瀬ロスに襲われた大伴はゲイバーへと足を運ぶがそこでは気持ちが満たされない。
大伴は今ヶ瀬とまた、関係を持ち、たまきと別れた。
今ヶ瀬はふらりと姿を消したが、大伴は今ヶ瀬の帰宅を信じて灰皿を洗い、一人彼を部屋で待つのだった。
たまきとの結婚を目前として、大伴は何か満たされない気持ちになっていた。
ゲイバーに足を運んでみるが、自分が求めているものはそこにはないことに気が付く。
たまきが泊まらない夜、今ヶ瀬と逢瀬を重ねる大伴。
今ヶ瀬は彼女と別れてと大伴に言う。大伴は「いいよ、明日別れる」とあっさりOKした。
今ヶ瀬は驚くが、大伴は「一緒に暮らそう」と今ヶ瀬に言う。
しかし、翌朝目を覚ますと今ヶ瀬の姿はなかった。
けれども、大伴はたまきに別れを切り出した。
大伴は今ヶ瀬に連絡を取り、海で話をした日のことを思い出していた。
「心底惚れるって全てにおいてその人だけが例外になっちゃうってことなんですね」という今ヶ瀬の言葉を。
今ヶ瀬は別の部屋で別の男と寝ていたが、悲しみに暮れて泣き出す。
大伴は一人、部屋で今ヶ瀬が捨てた灰皿をひろい、洗うのだった。
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」感想
R15+でここまでやってOKなんですか? って思うくらい、深いキスをはじめとして、あれこれ絡み合うシーンの多い映画です。R18じゃなくて大丈夫?と思っちゃいますが、映倫通っているので大丈夫なんでしょうね……。
異性同士、男性同士と相手を変えて何度も出てくるので、独りでそっと見るのがオススメかも。
私が今、失恋したばかりだったら、たぶんこれを見て号泣するはず。
この映画「窮鼠はチーズの夢を見る」の評価で「バッドエンド」と書いてあるのを見かけるのですが、「一緒に暮らそう」と今ヶ瀬に持ち掛けて、実際にたまきと別れているので、そのうちふらりと今ヶ瀬が戻ってきてハッピーエンドなんじゃないかなと、私は考えています。
大倉忠義と成田凌のルックスが素敵すぎることもあり、全てのシーンがとても美しく、思わず見入っちゃいます。なんとなくですが、映像表現としてはリアルなゲイの世界を描いたというよりは、いわゆるBLの世界に近い表現になのかなと感じました(リアルというよりは夢を描いた創作風という意味で)。
ストーリーとしては、性別にこだわらない「恋愛」が描かれていました。
正直、私は子育てや仕事、つまり生活に追われる日々なのでここまで恋だの愛だのに一直線になっている人が羨ましく、そして危なっかしく見えて怖かった。
ずーっと、この二人心中するんじゃないかなと思ってハラハラしてみていました。そういう、儚さやあやうさ、脆さが作品全体に漂っています。まるで、夢を見ているみたい。思う人は特別に愛しくて、恋しくて、切なくて、儚くて、焼けつくような想いだけが自分の中に激しく募って、すぐ目の前にあるのに手が届かない。
ひりつくような恋が、胸の奥で燻って手に負えないから知らないふりで目を閉じる。目の前の生活に追われているふりで、自分の気持ちに蓋をする。もし、私が人生のそんな時期にこの映画と出会っていたなら、しばらくこの作品に取り込まれてしまったかもしれません。原作漫画も気になります。
Twitterに素敵な感想や解釈があったので、いくつか紹介させてもらいます。
「窮鼠はチーズの夢を見る」原作
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」の原作は水城せとなによる漫画です。
同タイトル「窮鼠はチーズの夢を見る」 そして、「俎上の魚は二度跳ねる」の2冊です。
小学館の女性向けコミック誌『Judy』の増刊号『NIGHTY Judy』(2006年2月-2009年5月)に掲載されました。
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